| 05−手と手を合わせて / 匿名00 |
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※時間軸は去年の秋ごろ。捏造塗れです(汗) 「お前まーたでかくなったよな、可愛くねーの・・・」 「え、そうですか?」 秋空の下。軽い試合を終えた向日はラケットを振り回しながらぶっきらぼうに言った。 全国大会、準優勝。惜しくも後一歩まで言った氷帝学園だったが、相手も強豪・立海大付属だ。 全レギュラーたちも満足といったようで部活を引退して、今では新レギュラーで部を纏めている。 とは言っても、跡部が中心になっているのだが。 新レギュラーの中でも一番身長を気にしている彼が言うのだから、あながち鳳の成長は間違ってはいないのだろう。 「そ、お前入部したばっかの頃ジローと同じくらいだったのによ、今じゃ宍戸くらいあんじゃね?」 生っ意気ー、と頭をラケットで小突かれた。 向日なりの愛情?表現とは言え少し痛い。「痛いっすよー」と鳳は情けない声で抗議した。 「おーい岳人! なに後輩苛めてんだよ。忍足が呼んでんぞ」 「苛めてねーっつの! 今行くよ」 向日は足早に鳳から離れ駆けていった。 入れ替わりという感じで宍戸も自慢の髪を靡かせながら鳳の元に来る。 宍戸も先ほどまで打っていたのか、少しばかり頬が赤い。 「お疲れっス、宍戸先輩」 「おう、お前相変わらずノーコンなのな。何回入ったよ?」 「そこまで酷くないっスよ」 悪ィ悪ィ、と悪気のない風で鳳の髪を乱暴に撫でる。ぐしゃぐしゃになるな、なんて思ったけれど少し心地いいなと思った。 「ん? お前背ぇ伸びたか?」 「そうですか? さっき向日先輩にも言われたんですけど・・・・・・」 「前もう少し低かった気がするんだがな。鳳、ちょっと手ぇ出せ」 拒否権のない一言だった。 でも鳳はそんなことも気にせず手を出す。 「こう、スっか? ・・・・・・!」 「お、お前やっぱ手ェデケェな」 鳳は心臓が跳ねたような気がした。否、跳ねたかもしれない。 宍戸が鳳の手に、自分の手を重ねている。自分のよりも一回り小さいけれど、それ以上に逞しい手だ。 「まだ伸びるんだろうな、お前」 「そうなんですか?」 宍戸がにやりと鳳を見る。目が合う。 視線が同じくらいで、また鼓動が早まった気がした。 「大型犬の子犬は、手がデカいやつほどデカくなんだとよ」 「・・・・・・は?」 鳳の目が皿になった。一瞬言葉を理解できず、頭の中でなんども繰り返す。 「だからお前、もっと伸びるかもしんねぇな」 「もー、犬と同じにしないで下さいよ!」 またぐしゃりと頭を撫でられる。 その姿は本当に飼い主の犬だったと、遠巻きからみていた跡部が言っていた。 匿名00さん作のちょっと昔の宍鳳ですね! 手と手を合わせるというお題が、短時間でこんな萌えに大化けですよ!!すごいです…。 ご参加ありがとうございました! せんか@管 |