| 02−おままごとのような / 鏡花 |
|
この愛は子供のおままごとなんかじゃない そう、思っていたのに 『おままごとのような』 「長太郎…」 苦しそうな表情で呼ばれた名前。 貴方の唇から発せられた言葉なのに。 ねぇ、どうしてこんなに苦いの? 「…別れよう、ぜ?」 宍戸さんの発した言葉。 なにを言ってるのか理解ができない。 別れよう? どうしてそんなこと言うの? しかも、大切な記念日に。 「長太郎と付き合って6年…。お前ももう20歳だろ?」 俺の20歳の誕生日。 宍戸さんと付き合って6年。 20歳。 それは大人への確実な巣立ち。 「…男同士でなんて、流石に無理だろ」 苦々しく呟かれた言葉に、心が痛む。 白いベッドの上。 愛し合った証はすぐ傍にあるのに。 さっきまで笑顔だったじゃない。 さっきまで愛してるって言ってくれたじゃない。 さっきまで優しく抱きしめてくれたじゃない。 声すら、出ない。 「…俺のこと、好きでしたか?」 初めて発した自分の言葉は思っていたよりも冷徹で。 俺の声と言葉に宍戸さんが驚いたように目を見開く。 「愛してるから、こう言ってんだろ…」 宍戸さんが望んでるのは、別れ。 確かに宍戸さんが言う通りわかれれば、俺は平凡な幸せを手に入れられるかもしれない。 夢を追って、恋人を作って、家族を持って、平凡に平和に死んでいく。 …貴方は俺の何を見ていたの? 貴方のいない時間を俺が幸せに過ごせると思っているの? 「貴方は俺の何を見ていたんですか…?」 「…え?」 「本当に愛してるならなんで今更離れるんですか…!?」 張り上げるように言った言葉は、真実。 幸せになれないことくらいわかってた。 将来も、未来も、すべて諦めた。 …それよりも俺は、貴方との時間を選んだんだから。 おままごとみたいにすぐ終わる愛だなんて思っていない。 おままごとみたいに遊びだなんて思ってない。 貴方は、おままごとのようにしか感じていなかったの? 「俺は、もう未来なんていりません…、幸せだって望んでない!」 幸せなんてイラナイ。 未来も、希望も、明日も。 貴方といる時間が俺のすべてなのだから。 「宍戸さんと、いるだけでいい…。宍戸さん以外にもらう幸せなんて…」 俺には、そんなままごとのような愛も幸せもイラナイ。 言って、初めて涙が溢れてきた。 どうか、お願い。 …おままごとのように終わらせないで。 「長太郎…!!」 熱く俺を抱きしめてくれる腕。 涙を優しく拭ってくれる指先。 あたたかく確かな体温。 それ以外は、イラナイ。 「おままごとなんかじゃ、ない…」 おままごとのように終わらせないで。 そんな愛も恋も幸せもイラナイ。 欲しいのは貴方の本当の愛だけ。 頬に感じた雫は、確かに貴方の愛だった。 鏡花さん作のちょっと切ないめからハッピーエンドの宍鳳です! ぎゃっほう萌える!!!(落ち着け) 鏡花さん、ご馳走様でした……ありがとうございました! せんか@管 |